2017.1.9

つるバラ『ユキ』と冬の薔薇想い出

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花の少ない季節というのに、妙にお花がいっぱいの原田家。

お正月のために活けた日本水仙でしょう。

毎年この時期に咲くパフィオペディルムでしょう。

株を太らせるために摘んだ、パンジーやビオラの花…。

そしてひときわ輝かしいのは、冬の剪定のために切り落としたバラ。





つるバラの『ユキ』です。

四季咲きなのですが、このバラのすごいところは真冬に5月と同じぐらい咲くところ。

20輪ぐらい切ったでしょうか。花瓶に生けて家中あちこち置いています。こんな季節なのでよく持ちます。

 

オフホワイトの大輪カップ咲き。蕾は始めは緑がかっていて、だんだん白くなっていきます。

写真では見えませんが、花芯は赤でとてもゴージャス

祖母と同じ名前ということで、母がことのほか愛したバラです。「ユキさん、ユキさん。」と呼んでね。

ああ、そうか…白いからというだけじゃなくて、冬によく咲くから”ユキ”なんだ。





真冬にユキさんを飾ると、母が決まって話してくれるエピソードありました。

母がまだ娘時代のこと。

冴え冴えとした冬のある日の夕方、家に見知らぬ男性が訪ねて来て、祖母に言いました。

「奥さま、お庭に咲いている薔薇を分けていただけないでしょうか?」

聞けば、その男性のご主人様が冬の薔薇をテーマに茶会を開くとのこと。

それで主人のために一日ほうぼうを探し歩いて、偶然祖母の庭にバラが咲いているのを見つけたのだそうです。

そのバラは(『ユキ』と違って)冬に咲くことは多くなく、最後の一輪を祖母が大切にしていたものでした。

主人ために寒空の下、薔薇を探して歩き回る男性の様子に心を動かされたのでしょうか?

祖母は惜しむ様子もなく、即座にバラを切り男性に差し上げたのだそうです。





今考えると祖母は『冬の薔薇』をもてなしのテーマに選んだ主人の感性に共感し

それに一役買うことが出来ることを喜んだのかも知れません。

(そしてそんな祖母を母は誇りに思ったのではないでしょうか?)

 

毎日、自分を楽しませていた一輪の薔薇…。

その薔薇がどこかの茶会で飾られて、皆に愛でられる…ということに心から満足して。

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Writer


エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko


福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。

90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。

2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。