2016.3.11

エレアカ流 ”幸せを運ぶ”『和食器の揃え方』。

あの驚きと悲しみの日から、今日で5年…。

暗い濁流に飲み込まれる街々、田畑の様子は忘れることが出来ません。

亡くなった方々のご冥福を心よりお祈りし、ご遺族にお悔やみを申し上げるとともに、

いまだ行方不明の家族を帰り待つお身内の辛いお気持ち、お察し申し上げます。






食器は幸せさ加減を表す

 

さて、3月のエレアカは『和』がテーマですが、

皆様は食器をどのようにお求めになっていらっしゃいますか?

街で見かけて可愛かったから…。毎年出かける陶器市で、気に入ったものを…。

そのような感じが多いのではないでしょうか?

けれども、食器は使う人の趣味、教養、料理の腕前、幸せさ加減を示すと言われます。

丁寧に求めるように心がけたいものです。





『趣味や料理の腕前はともかく、食器が幸せさ加減を示すですって!?』

とお思いになるかもしれません。これには古い時代からの幸せの判断基準が関係しています。

昔、文明の十字路と言われるイスタンブール(現トルコ)を中心に、

西欧と東洋の習慣や考え方がはっきりと分かれていた頃…。






西の国の領主と東の国の領主


西の国の領主は自分の領土を回ってみて、民の家々の壁や屋根がしっかりしていて、

美しく整っていれば、自分の統治も上手くいっていると判断しました。

その判断基準は今も残っていて、地中海沿岸では家の壁にタイルを張って飾ったり、

ドイツなどでは道路から家を見たときの綺麗さにこだわって設計、

前庭や玄関までのアプローチ、窓辺などを美しさを保つように心がけますよね。

 

一方、東の国の領主は、民がどのようなものを、どのように食べているかを

統治成功の基準にしました。

これには、モンゴルなど遊牧民族は定住するための家を持たなかったり、

建物が木製で地震や台風の被害を受けやすかったという理由があったからかも知れません。

けれども今でも『幸せな家庭』と言われれば、

食卓を囲む家族の様子を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか?

 

私たち日本人は東の国の住民。それが適当かどうかはともかく、

食物、食器など”食”が幸せのバロメーターになるところに暮らしているのです。






食器の求め方

 

さて、そうはいっても手当たり次第に購入するのでは、似たようなものばかり沢山ある、

教養が感じられない食器揃えになってしまいます。どのように揃えていけば良いのでしょうか?




① お手持ちの食器リストを作る

自分のすでに持っているものの傾向を把握しましょう。磁器が多いのか、陶器が多いのか、

漆器はあるか…など。弱いところが見つかれば、

少しずつその食器を見る(触れる)機会を増やすようにします。




② 目を肥やす

持ってないからと言ってすぐに購入するのはストップ!まずは『目を肥やす』こと。

私のおススメは有田の九州陶磁器文化館の『柴田コレクション』を見に行くこと。

江戸時代から昭和初期の有田焼の名品の数々(数千点!)を鑑賞することが出来ます。

質の高い素晴らしい食器たちは何時間見ても飽きないほど!入場無料。年、数回入れ替わり。





また、料亭などに食べに行くのもいいですね。

私が好きなのはグランドハイアットにはいっている『なだ万』。

お料理も繊細で手が込んでいてとても素晴らしいのですが、食器の使い方が秀逸!

色、素材による季節感の演出、立体感のある器の使い方。こちらは少しモダンな要素があり、

家に帰ってすぐに役立てることのできるヒントがいっぱいです。





③ 食器は一人で買いに行く

必要なものは一人一人違います。友達同士で行くとどうしても、流されがちになりますので、

リストを持って、お一人でお出かけいただくのがお勧め。

また陶器市やセールの時は、浮かれたり、あせったりして目が曇りやすいので、

そうでないときにじっくりお選びいただくのが本当に賢い購入の仕方です。

 

さて、エレアカ流『和食器の求め方』いかがでしたでしょうか?

良い食器ぞろえをして、幸せな食卓風景を演出してくださいね。





テーブルコーディネート基礎コース『食卓の美学セミナー』では、

テーブルコーディネートのテクニックだけでなく、

生徒お一人お一人に食器の揃え方のアドバイスも致します。

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Writer


エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko


福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。

90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。

2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。