2016.9.20

シルバーカトラリーの収納 『テーブルコーディネート教室』

九州地方、大きな台風被害が出ました。ご家族ご親戚お怪我ありませんでしたでしょうか?

先日の東北地方に訪れた台風といい、今年は被害が大きくなる傾向にあるようです。

台風シーズンはまだ続きます。がけ崩れ、河川の氾濫などの予兆を感じたときは、

どうぞ躊躇なく避難なさっくてくださいますよう…。

 

さて先日より『食卓の美学セミナー』9月のテーマ、

カトラリーの知識のお話しをさせていただいております。

本日はシルバーカトラリーのお手入れと収納についてお話しいたします。





シルバーと聞いて一番に思い浮かぶのは、

お手入れの大変さという方も多いのではないでしょうか?

けれどもシルバーの変色のメカニズムを知ることで、随分と防ぐことが出来ます。





シルバー製品を変色させる原因

 

シルバーを変色させる原因は空気中の硫黄化合物です。

都市の空気は発電所・自動車の排ガス、下水からの硫化水素、ゴミの焼却煙など

シルバーにとって好ましい環境と言えませんが、

専用の収納袋にいれて、引き出しに入れておくだけで、かなり良好な状態が保たれます。

収納袋はカトラリーを購入の時に同時に購入すると良いでしょう。





個人用カトラリーは、専用の収納袋に包むか、一本ずつビニール袋に入れて、リビングの

キャビネットの引き出しに収納しています。引き出しの薄さが、カトラリーにぴったり!

 

多くの動物性たんぱく質は硫黄分を含み、特に蟹、海老、貝柱などの甲殻類には多く含まれ、

これらが腐敗すると硫化水素を発生します。

また流しの下には下水が通っており、下水から漂ってくる硫化水素もシルバーを変色させ、

オーブンの煙高温多湿も変色の原因になります。

つまり、キッチンはシルバーにとって大変嫌な場所ということになります。

使用後は速やかに洗って、完全に水分を拭きとり、収納袋に入れて、

リビングなど湿気が少ない場所にしまうことをお勧めします。





サービス用カトラリーは、食器棚の下の引き出しに。引き出しの底には布を敷いて。

 

他にシルバーの嫌うことを書き出しますと、

・汚れた水につけっぱなしにする。

・汚れてないように見えたからと言って、洗わないまま収納する。

・さびたものと一緒にしておく。(もらい錆)

・輪ゴム、ゴム手袋などゴム製品と一緒の場所に収納する。

・煙草の煙。

上3つは錆の原因に。下2つは硫化水素による変色の原因になります。





サービス用カトラリーの上にも、出来るだけ空気に触れないように柔らかい布をかけて。

その上にシリカゲルなどの乾燥材とお手入れ用シルバークロスをおいています。





引き出しの場所はこちら↑。グラスなどの食器棚の引き出し。

水道(下水)から遠ざけることを意識して。

 

これらのことに気をつけるだけで、シルバー変色の恐怖からほとんど解放されます。

シルバー変色のメカニズムから、それを防止する収納法と場所を選んで決めたら、

あとは他の食器類と同じように、洗って、拭いて、片づけるだけです。





それでも大きなものなど、引き出しに入らなかったり、

気をつけていても変色してしまったものは、どうしたらよいのでしょうか?

明日はそのあたりについてお話ししますね。お楽しみに!

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Writer


エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko


福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。

90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。

2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。