九州地方、大きな台風被害が出ました。ご家族ご親戚お怪我ありませんでしたでしょうか?
先日の東北地方に訪れた台風といい、今年は被害が大きくなる傾向にあるようです。
台風シーズンはまだ続きます。がけ崩れ、河川の氾濫などの予兆を感じたときは、
どうぞ躊躇なく避難なさっくてくださいますよう…。
さて先日より『食卓の美学セミナー』9月のテーマ、
カトラリーの知識のお話しをさせていただいております。
本日はシルバーカトラリーのお手入れと収納についてお話しいたします。
シルバーと聞いて一番に思い浮かぶのは、
お手入れの大変さという方も多いのではないでしょうか?
けれどもシルバーの変色のメカニズムを知ることで、随分と防ぐことが出来ます。
シルバーを変色させる原因は空気中の硫黄化合物です。
都市の空気は発電所・自動車の排ガス、下水からの硫化水素、ゴミの焼却煙など
シルバーにとって好ましい環境と言えませんが、
専用の収納袋にいれて、引き出しに入れておくだけで、かなり良好な状態が保たれます。
収納袋はカトラリーを購入の時に同時に購入すると良いでしょう。
個人用カトラリーは、専用の収納袋に包むか、一本ずつビニール袋に入れて、リビングの
キャビネットの引き出しに収納しています。引き出しの薄さが、カトラリーにぴったり!
多くの動物性たんぱく質は硫黄分を含み、特に蟹、海老、貝柱などの甲殻類には多く含まれ、
これらが腐敗すると硫化水素を発生します。
また流しの下には下水が通っており、下水から漂ってくる硫化水素もシルバーを変色させ、
オーブンの煙、高温多湿も変色の原因になります。
つまり、キッチンはシルバーにとって大変嫌な場所ということになります。
使用後は速やかに洗って、完全に水分を拭きとり、収納袋に入れて、
リビングなど湿気が少ない場所にしまうことをお勧めします。
サービス用カトラリーは、食器棚の下の引き出しに。引き出しの底には布を敷いて。
他にシルバーの嫌うことを書き出しますと、
・汚れた水につけっぱなしにする。
・汚れてないように見えたからと言って、洗わないまま収納する。
・さびたものと一緒にしておく。(もらい錆)
・輪ゴム、ゴム手袋などゴム製品と一緒の場所に収納する。
・煙草の煙。
上3つは錆の原因に。下2つは硫化水素による変色の原因になります。
サービス用カトラリーの上にも、出来るだけ空気に触れないように柔らかい布をかけて。
その上にシリカゲルなどの乾燥材とお手入れ用シルバークロスをおいています。
引き出しの場所はこちら↑。グラスなどの食器棚の引き出し。
水道(下水)から遠ざけることを意識して。
これらのことに気をつけるだけで、シルバー変色の恐怖からほとんど解放されます。
シルバー変色のメカニズムから、それを防止する収納法と場所を選んで決めたら、
あとは他の食器類と同じように、洗って、拭いて、片づけるだけです。
それでも大きなものなど、引き出しに入らなかったり、
気をつけていても変色してしまったものは、どうしたらよいのでしょうか?
明日はそのあたりについてお話ししますね。お楽しみに!
エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko
福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。
90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。
2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。