2016.7.19

フランスアール・デコの雄。ガラス作家ルネ・ラリックとは?

今日は朝早く目が覚めたので、お庭の芝刈りをしました。

お花の少ない季節ですが、雑草を刈って広々しただけで気持ちが良いですね。

母が申すには、天神辺りより標高(?)が数十m高いそうで、(真偽は定かではありません。)

だからなのか分かりませんが、涼しい風が良く通り抜けます。

 

さて涼しさのおすそ分けを兼ねて、本日もガラスのお話しをさせていただきますね。

100年ほど前、ヨーロッパで流行した装飾美術様式”アール・デコ”。

その代表的なガラス作家ルネ・ラリックについてです。





↑ルネ・ラリックデザインの『小鳥』。艶消しクリスタルが優しい雰囲気。

 

ルネ・ラリックは1860年、フランスのマルヌに生まれました。

少年時代は絵画に興味を抱いていましたが、母の希望によりパリの宝飾家に弟子入りし、

アール・ヌーボー様式の華麗なジュエリーを次々に発表、

宝飾デザイナーとして確固とした地位を築きました。

 

アール・デコの時代になるとガラス作家に転身し、

繊細で美しい香水瓶の制作を量産に導くという技術的、商業的な成功を果たし、

1925年パリで開催されたアール・デコ万国博覧会で発表した巨大なガラスの噴水は

『奇跡の噴水』と呼ばれ、ヨーロッパ中を驚嘆させました。





↑スズランをモチーフにした香水瓶。

透明クリスタルとフロステッド(艶消し)のコントラストに息を飲む…。

 

ルネ・ラリックの作品の特徴は、

透明なガラスと乳白色のオパルセントガラスの組み合わせです。

草花や女性像などを浮き彫りにした彫刻的な作品は、型を利用したもので、

機械で圧搾空気を送り込み、強い圧力をかけて成形する方法を開発しました。

しかしラリックの魅力は技法うんぬんより、”アール・デコ”を代表するそのデザインでしょう。





“アール・デコ”を語るには、その前に流行した”アー・ヌーボー”を説明しなければなりません。

“アール・ヌーボー”は1890年から1910年に欧米諸国で流行した装飾美術様式です。

新しい芸術を意味するこの様式は、バロック・ロココに加え、

イスラム、ケルト、東洋など様々な国、時代の様式の影響を受け、

華美でデコラティブ、曲線を多用し、装飾性豊かな表現が特徴でした。

 

そのあとに出てきたアール・デコはアール・ヌーボーの華美な装飾に代わり、

機械文明を反映したシンプルで幾何学的デザインで、

テーブルウェアから室内装飾、列車や客船の内装といった様々な分野で展開されました。





↑こちらも小鳥がモチーフになったリングトレイ。お水を張って小花を浮かせても良いですね。

 

直線を主体とし、幾何学的。モノトーン+ゴールド、シルバーで表現されることが多く、

どちらかといえばハードなデザインが多いアール・デコ期にあって、

ジュエリーデザイナーから出発したラリックのデザインは、

動植物や女性をモチーフにしている点で特異かもしれません。

しかし、その作品を支える高い技術や量産可能な製法は、

アール・デコを産んだ産業革命の落とし子であるということに変わりなく、

彫刻のような重厚さと量感はまさに男性的なガラスと言えるでしょう。





↑わたくしのお気に入りはカエル。

小さいのですが両生類のヌルっとした質感まで表現されています。

 

ラリックのお話しとエレアカ所有のラリック作品いかがでしたでしょうか?

少しだけ涼しくなったのではないでしょうか?

バカラばかりでない、フランスのガラス工芸の魅力を感じていただけましたら幸いです。

Category

Writer


エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko


福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。

90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。

2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。