エレアカのテーブルコーディネート教室『食卓の美学セミナー』の9月は
『カトラリーの知識』テーマ。
本日はレッスンの2時間でお伝えしきれなかった、
世界の銀器メーカーについてお話しさせていただきます。
食べる道具としてフォークを使っている人は
世界人口比でどのぐらいだとお思いでしょうか?
実は30%。思ったより、少ないのではないでしょうか。
30%が箸、残り40%の人達は指で食べています。
食べる道具としての指、箸、フォークはそれぞれの文化圏の食べ物と
密接に関係を持ちながら、独自の発達をしました。
西欧文明圏を中心に発達したカトラリーが一般化したのは、18世紀以降。
ちょうどヨーロッパでようやく磁器の製造が始まり、名窯が次々と誕生した時代であり、
カトラリーもその空気と様式を踏まえて多様な発達をとげました。
はじめシルバー職人の仕事は王冠や教会の祭器造りが中心であったと思われますが、
徐々に工場制手工業として、また近代的な工業として発展するのは、
ある程度の量産を期待できるほどカトラリーの需要が増えてきてからのことです。
ヨーロッパの多くの有名な銀器のメーカーの創立が、
18世紀後半から19世紀の初期にかけて集中しているのはこのためです。
銀器の格と値段は金属の質とメーカーの歴史的背景から形成されます。
日本で入手可能な銀器のメーカーを上げてみましょう。
1830年、宝石商のシャルル・クリストフルが創立した銀製品メーカーの老舗。
ナポレオン3世の宮廷御用達業者も務め、現在でもエリゼ宮や
『ホテル・リッツ』をはじめとする世界最高級ホテルなどで使用されている。
日本で販売されているのは銀メッキ(EPNS)だが、本国フランスでは純銀バージョンもある。
http://www.maria-roses.com/shopbrand/018/X/
アールデコ期にジャン・ピュイフォルカが興した銀器メーカー。
アールデコのデザインが特徴的だが、レジャンスをはじめとする
18世紀の様式を忠実に残しているものも多い。
製品はプレス加工のあと、手加工で彫刻を入れたり、ハンドメイドの雰囲気を持つ逸品である。
http://silver.sno1.biz/france-silver/fr25.html
1744年イギリス、シェフィールドでナイフ職人のジョナサン・マッピンが設立し、
1897年ビクトリア女王より王室御用達を授けられた。
イギリスを代表するブランドらしく、紅茶やティーパーティーに関する銀器が充実している。
http://www.antiquestruffle.com/a&c/na160515.htm
1919年ドイツで誕生。繊細でアンティークなような風合い特徴。
とくにルードヴィッヒ王がバラによって命を救われたという伝説に基づいて作られた
『ヒルデスハイム・ロース゛』は人気が高い。
すべてスターリングシルバーで有りながら、価格はお手頃。
http://www.nukuemon.com/antique.php?bn=CUG
1904年、王立芸術アカデミーが彫刻を学んだジョージ・ジャンセンによって、
デンマークのコペンハーゲンに設立された。
純銀製が中心だが、ステンレス製品も製造している。
デザインはフランスやイギリスのものとは大きく異なり、大胆でアート的。
槌目やどんぐりをモチーフにした『エコーン』は、
ロイヤルコペンハーゲンの磁器とのコーディネートで有名。
アクセサリーなども数多く紹介されている。
http://nottin.ocnk.net/product/6636
世界の銀器メーカー、いかがでしたでしょうか?
眺めているだけで優雅な気分になれますね。
わたくしたち女性は子供の頃から陶磁器が好きなもの。
洋食器は何とかそろっているものですが、銀器まではなかなか…
というご家庭も多いのではないでしょうか?
けれども、一流の洋食器にステンレスのカトラリーでは
友禅のきものに浴衣の帯をしめるようなもの、と母はよく申したものです。
まずはティースプーン一本からでいいので、
シルバーのカトラリーをお求めになり、お使いになってみてください。
きっと昨日より素敵な自分に出会えますよ。
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エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko
福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。
90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。
2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。