エレガントライフアカデミー創始者、原田治子の一生の物語です。
バックナンバー①~⑨は『原田治子Story』でお読みいただけます。
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一見スムーズに始まったかにみえた新婚生活でしたが、母にとっては驚きがいっぱい。
「夫が一年中、一日中、家にいる!」
ドイツ留学中の父、原田吉雄。
祖父は勤め人だったため、8時に家を出て5時過ぎに帰るというサイクルだったのに、
父はピアニストなので生徒に教えるか自分がさらうかで、朝から晩まで家でピアノを弾きます。
よって、母は朝食、お十時(午前中のおやつ)、昼食、お三時(午後のおやつ)、夕食の
なんと一日5回も食事の支度をすることになりました。
さらに、午後や夕食時には父の音楽仲間が訪ねてくることも多く、
新婚時代の母は一日中キッチンに立っているか、お給仕をしているような状態。
しかも父は、末っ子の長男で甘やかされて育ったのに加え、アーティスト気質。
決まった食事時間は一分たりともずれを許さず、
突然訪ねてきた友人のためにも、当然のように母にもてなしを要求する…。
留学から帰って、妻と娘に再会。次女とは初対面。
「どうすれば、時間ジャストに食事を出せるかしら?」
「どうすれば、突然のお客様を十分もてなすことができるかしら?」
けれどもこれこそが、母がテーブルコーディネート(当時はその言葉すら
知らなかったでしょう…)やもてなし術を追求していくきっかけになったのです。
・毎日の食事の支度は、食卓に食器類を並べてから(テーブルセッティングしてから)、
調理に取り掛かること。
・すべての料理やお菓子のレパートリーについて、調理に何分かかるか、把握しておくこと。
・いつお客様がいらしても、おもてなしができるように
お客様用の食卓を、家族の食卓とは別に用意しておくこと。
・もてなしのときワゴンを活用すれば、お給仕がずいぶん楽に、そして上手にできる。
失敗や挫折を繰り返しながらも、しだいに自分なりの方法を見つけていったのでした。
ようやく父との暮らしになれ、地域の婦人会にも参加できるようになったころ。右端が原田治子。
エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko
福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。
90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。
2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。