2016.4.4

桜とうぐいす… そして母の想い出。

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今日はすこし冷えますね。皆様、お花見は済まされましたか?

暖かい穏やかな休日、桜が散る前のプレゼントでしたね。

 

ここ数日、わたくしは鶯の鳴き声で目覚めます。

毎年、3月初めごろより鳴く練習をはじめますが、

初めは「ホー…ケチョ、ケキョ…」と随分おぼつかない感じ。

でも4月に入ると日に日に上達し、昨日と今朝は完璧でした。

思わずベッドの中で「ブラボー!」と手をたたきます。

鶯に生まれても、すぐに綺麗に鳴けるわけではないのですね。

毎日たくさん練習して、やっと美しい声が出せるようになるのです。

 

毎年声を聴かせてくれますが、姿を見たことはありません。

メジロは団体で梅のつぼみをついばみに来るのにね…。

でも声がするということは、必ずどこかにいるのでしょう。





去年の今頃は、毎日母の入院する病院へ通ったものです。

6時前に起きて、父のお昼のお弁当を作ってから(朝食は夜のうちに用意しています。)、

母の朝食のためのパンとヨーグルト、フルーツ、紅茶を持って…。

私の顔を見ると母はいつも言うのです。「しょうこ、しょうこ、来てくれたの?」

私は答えます。「来ないわけがないじゃない、私の幸せはお母様のところにあるのだから。」

 

病気のため会話がしにくくなった母ですが、不思議に歌は驚くほど上手で、

『早春賦』『隅田川』『菩提樹』など、素敵な歌をたくさん歌ってくれました。

母が歌うといつも看護師さんや他の入院患者さんが集まります。

美声とか、正確な音程とかいう前に、映画のワンシーンを見ているように感じるのです。

それはきっと、心に情景を思い浮かべながら一音一音発していたからでしょう。

「イマジネーション」は母の大得意のことでした。

 

才能をもって生まれたけれど、母だって初めから上手にできたわけじゃない。

歌も刺繍も、おもてなしも。あんなふうにしたい、こんなふうに出来るようにとイメージして、

たくさんたくさん練習して、すこしずつ上手になったのです。

そう、ちょうど鶯のように…。

 

姿は見えないけれど、きっと側にいるのでしょう。そして、言っているかもしれません。

「居ないわけがないじゃない。ママの幸せは章子のところにあるのだから。」



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Writer


エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko


福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。

90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。

2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。