2016.10.10

母のクローゼット ~原田治子Story ~

連休最終日いかがお過ごしでしたか?

お天気も良く、暑くも寒くもない最高の行楽日和でしたので、楽しくお出かけになったのではないでしょうか?

 

わたくしはと言いますと、昨日、10月のCooking & Sweets のための試作としてお菓子作りをして、

せっかく傷の癒えかけた右手をまた痛めてしまいました。がっかり…。(>_<)

作っている最中は夢中なので気づかないのですが、夜に手が痛み出して朝になってもしびれているという。

お菓子作りって思いのほか手を酷使するのですね。日々のお料理では大丈夫だったのに…。

でも最高に美味しいモンブラン・タルトが出来ました。近々ご披露いたしますね。





さて本日は母、原田治子の話をしようと存じます。

丁度今日のような秋風の気持ちの良いころになると、お家中に靴音が響いたものです。

母の○○年秋冬コレクションのファッションショーの開幕です。

夏の間ににファッション雑誌を読みこみ、”その年の気分”(=流行)を抽出、

すでに持っているものに、新しい1~2点のアイテムを加えて、その年らしいファションをつくるのです。

母の秋の定番ファションは白のブラウスに紺やグレー、キャメルのスカート+ベルト、真珠のネックレス。

共布のジャケットやカーディガンをあわせて、コートを羽織ります。

それに靴やバッグ、スカーフ、ショール、手袋、ファー、ネックレスなどのアクセサリーを加えていきます。

ほとんど以前から持っているもので、新しく購入したものはほんの1~2点なのに、

組み合わせや、着こなしで旬な感じになるのですから、不思議です。

わたしくは幼い時から母のファッションショーの一番の観客。

『今度はあれ着て、これつけて。』とよくリクエストしたものです。

 

お教室をするようになって、母のクローゼットには少しずつハイブランドの品が仲間入りしましたが、

それ以前は全くブランド品は持っていませんでした。

当然娘の私も知識がなく、大学入学で上京し、皆の会話で初めて知ったありさま…。

『ビトンって何?』と言って驚かれたものでした。(“ルイ・ヴィトン”ことですよね。)





わたくしが小学校の低学年のこと。

母と並んで食器を洗っている時、母の手首に光る細い金のブレスレットを見て、何気なく尋ねました。

「ママ、それ本物?」

小さなお星さまのチャームがついたそれを、いつかほしいなと思っていたのです。母はこう答えました。

「ママがしていたら、本物になるのよ!」

夫をドイツ留学させ、子供たち二人を私立の学校に通わせながら、自分のものは

髪の毛を数本集めたぐらいに細い金のブレスレット、それすらもイミテーションだったのです。

でも幼い私はそんなことに頭が回らず、ただそのまま、

「そうか、ママがしてたら、本物になるんだ!すごいな~。」

と本気で思っただけでした。





いつも夫と子供優先で、自分のことは後回し…。

でも持ち前のセンスの良さや工夫で、誰にも決して自分をみじめに感じさせない母。

それは決して見栄や虚構ではなく、原田治子としての本物の生き方だったのではないでしょうか?

そんな母への神様からのご褒美だったのでしょう。

天国へは一番乗りに行って、

今は大好きなお洒落やお食事、旅行を存分に楽しんでいることでしょう。

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Writer


エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko


福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。

90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。

2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。