一週間の始まりの日は、清々しいお天気に恵まれました。
今週も励んでまいりましょう!
本日は『食空間』の重要性について書きたいと思います。
食空間とは、文字通り食事をする空間のこと。普通はキッチンやダイニング、
時々はお庭や会社の会議室などということもあるかもしれません。
帝国ホテルの総料理長を長くおつとめになった村上信夫シェフが、
ホテルのダイニングでディナーを召し上がった常連客にあいさつに現れたときのこと。
客のご婦人は感激しながらこう言いました。『村上シェフのお料理は最高だわ!
世界中どこに行っても、これほど美味しいお料理には出会えないでしょう!』
村上シェフは微笑みながら答えました。
『お褒めに預かり光栄です。ですが、
もしこの料理をお宅で召し上がっても同じように美味しいかどうかは分かりません。』
??お客様に対して、すこし失礼なおっしゃりよう…ではないでしょうか?
しかしシェフの真意はこのようなものでした。
『自分の料理がお客様に美味しく感じていただけるのは、
サービスマンの給仕のスマートさ、
ホテルのダイニングのインテリアの豪華さ、
ダイナミックに生けられたフラワーアレンジメントの美しさがあってのこと。
さらに、会場をいつも清潔に整えてくれる清掃スタッフ、
テーブルリネンをキレイに洗濯、アイロンがけしてくれる洗濯スタッフ…。
そのような仲間の力があってはじめて、料理は本来の味を発揮し、
お客様を喜ばせることが出来るのだ。』
“洋食の神様”とまで言われた方が、なんという謙遜さでしょう!
じっさい、私たちが食卓に着いた時の視野の70%前後は、
床や天井、壁、窓からの景色が占めると言われています。
残りの25%前後がテーブルコーディネートなど、ということになりますが、
お料理は、たった5%なのだそうです。
もちろん目から入る情報すべてが、脳で同じ重要度で認識されるわけではありません。
食べ物(料理)は生物の生存にかかわるだけに、大きくとらえられます。
けれども、他の要素が全く無視されるわけではなく、
“美味しさ”判断する要素となるのです。
いかがでしたでしょうか?食空間の構成要素が、お料理の美味しさを左右するということ、
ご納得いただけましたでしょうか?
せっかく時間をかけて、頑張って作った料理。
家族やお客様に100%美味しく感じて食べてもらいたいもの。
それを120%まで持って行くのが、食卓演出、テーブルコーディネートなのです。
エレガントライフアカデミー代表
原田 章子 Harada Shoko
福岡市に生まれる。福岡雙葉小学校、中学校、高等学校卒業。白百合女子大学文学部、国文学科卒業。
90年代よりテーブルアートを志し、フランス留学。料理学校『コルドン・ブルー』、『リッツ・エスコフィエ』で料理と製菓を学ぶ。公爵夫人マリー・ブランシュ・ドゥ・ブロイユに師事し、フランス食文化史を学ぶ。パリの生花店『コム・オ・ジャルダン』で修業。その後も定期的に渡仏し、同店で研修を受ける。
2015年、母、原田治子逝去に際し、エレガントライフアカデミーの代表に就任。当Blogの執筆も手掛ける。